202X年、国会にてある法案が可決された。その名も「苗字統一法」。全国人の戸籍データベース化に合わせ、余りにも増えすぎた同音異字の苗字を一つに統合しようというものだ。
法案が提出された当初は批判的な声もあった。人権を無視した法案や議論するまでもないお遊びごとだと。何よりも皆自分の苗字に誇りを持っているのだ。長年書きなれた名を今更捨てるなど考えたくもない。
しかし、書き間違いの減少による作業効率化、煩わしさの解消などから主に市役所職員や銀行員など仕事柄多くの名前を取り扱う人々の賛成の声もあり議論は長引く運びとなる。
「そもそも統一する苗字はどうやって決めるのだ。」
ある議員が問う。
世帯数か?それではそれ以外の同音異字からバッシングを得るだろう。
ならば、くじ引きか?誰が引くというのだ。選ばれなかった苗字のものから恨まれるに違いない。
案を出すものの責任という二文字が尾を引き場は停滞する。
「ならその苗字ごとの代表者が決めればいいんじゃない。」
そんな、煮え切った場に透き通った声が響く。その若い議員は続けて、
・同音異字の苗字ごとに1人代表を出して代表選を行う
・最終的に生き残った者の苗字を同音の苗字として制定する
と細かい案を出していく。
そんな馬鹿げた決め方があるか。乾いた笑い声と汚い野次が至る所から聞こえる。
そもそもが議論自体が無駄だ。そう言い放ち議員数名が退席しようとしたその時、
「勝てばその苗字を通名にできるのですよ。」
その一言で空気が揺れた。少しだ、だが、国会に参加していた者、モニター越しに中継を見ていた者の法案に対する見方が変わったのは間違いなかった。
今まで間違われ続けてきた我が苗字が一般的になる。日陰から一気に地上へ。
議論に議論を重ねた結果、その法案は国民投票に委ねられ僅差で可決する運びとなる。
そしてこの法令の第一弾執行対象として選ばれた苗字は「ワタナベ」。
その結果に歓喜する者、怪しく笑む者、名を奪われないか心配する者、そして結果をただ受け入れようとする者。
これは自らの姓(サガ)を賭け、動乱に身を投じていく人々の話。
登場人物
・渡辺 くじ引きで選ばれた平凡な男子高校生。渡部とは幼馴染。
・渡邉 渡邉財閥の令嬢。容姿端麗才色兼備だが常識外れな所も…
・渡部 高校最速ピッチャー。明るい性格でナインからの信頼も厚い。
・渡邊 JKに人気抜群の若手イケメン俳優。代表作は忍者ライガー紅蓮。
・渡边 テニス部に所属している女子中学生。生き別れた兄がいるらしいが…
・綿辺 特に苗字に思い入れもない、楽観的な男子高校生。
・渡那部 神社の跡取り娘。勝利を第一に考え行動する。
・綿奈部 心優しい女性。渡那部を勝たせようと奔走する。
・和田辺 華奢な男子大学生。選ばれたことが不服。
・綿鍋 話題のアイドルグループのセンター。自分より目立つ人が嫌い。
・亘鍋 臨床研修医。最近のマイブームは魚料理。
・渡鍋 Twitterで話題の料理研究家。愛称はナベッチ。
・競 競輪選手。足が凄い。
・輪多鍋、羽多鍋、話多鍋 1ヶ月前に突然戸籍登録された。特殊な訓練を受けているようだが…
・邊辺 経歴、年齢、性別含めて多くが謎に包まれた人物。
・斎藤 最年少で内閣入りを果たした天才議員。この法令の立案者。

こういうラノベの設定考えたんだけどどう?

山田悠介あたりが似たような設定で書いてそう